マイナーな映画だからこそ

世の中で公開されている映画作品というものは、必ずしも大衆向けに作られるものばかりとは限りません。中には一体誰がこんな作品を好きだと言うのだろうか、と言った作品もあれば反対に、どうしてこんな良作が誰に知られること無く珍作という汚名を付けられてしまうのだろうと、疑問に感じる人も多かれ少なかれあるはずだ。ただそれも個人の好みによって左右されるからだと思う、中には露骨なまでに多くの人に好まれるような媚売りをしている作品だってある。それこそアイドルなどを起用している映画など、特定のファン層を意識した人々を狙ったものが多く輩出されている。

正直言えば、そういった作品の大半はあまりにウケが悪い。メディアが過剰なまでに売り込みをしているものの、全く魅力を感じることのない作品だと判断すれば見に行かない人もいれば、一度興味本位という下で訪れて閲覧しても、内容に感化されること無く一度の来館で映画を見ることを終了してしまう人もいる。映画というものは、やはり何度となく訪れても見るだけの価値があると思わせられなければ、目に見えた興行成績という箔はつかない。そういう意味では、現在公開されている作品の中で飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を増している『バケモノの子』は良い例だ。対して既に過去5作も同様の映画作品が作られている原作『リアル鬼ごっこ』も、今回人気モデルたちを起用して新たに劇場公開もされている。ただネット上の反応を見る限りでは、既に何度も公開されている上、今回の作品は監督が原作を『一度も読まないで』という前提で撮影が行われているとのことで、その時点から不安が残るばかりだ。

映画も何度も訪れてくれるようなお客さんがいなければ、商業作品として成立はしない、それこそこの世にあるはずのないものだと決めつけられては多額の制作費が無駄にもなり、さらに出演した俳優たちも肩書き的に影響はよろしくない方向へと移動してしまいがちとなってしまいます。そんなマイナスなことは避けたいと誰もが思っているからこそ過剰な宣伝を行うのかもしれませんが、人の心を動かす映画というのも、制作するのはなかなか難しいものです。有名な脚本家が作れば面白いかと言われればそうでもない、一流の俳優が出演していればそれだけで納得できるものでもありません。最終的にどれだけ人を面白いと感じさせられるかが勝負の鍵だ。

そういう意味で、今回取り上げる作品となる2010年に公開された『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』という、物凄いマイナーな作品は良い意味で訪れた観客を虜にした作品となっています。

限定的でありながら

この作品、劇場公開当初は都内の劇場を初めとして全25スクリーンでロードショーされた作品となっている。公開されている映画館の数だけ見れば分かるように、非常に狭小された範囲でのみ映画が閲覧できたため、知らない人がいたとしても不思議ではありません。関東圏内に住んでいれば見ようと思えば見られたでしょうが、さすがに事前情報も持たない状態でこの映画を見ようという気も中々起きないものです。そこには面白いかどうかというのもそうですが、その作品が閲覧するために必要な入場料金を支払っても納得できる作品かどうかも関係しているものだ。

筆者もそう、何度も見に行く場合はその作品がそれだけ面白いと感じるか否かで判断する。友人に勧める際にもそれを承知で観に行こうと誘う時もあるが、大抵の場合つまらなかったらいくらかおごるという条件をつけるため、色々と懐事情が辛い部分もある。推薦した作品がつまらないと相手が感じるようなら、その分の負債はやはり誘った本人が代償を支払わないといけないだろうと思う。なので無理にこれがおもしろいと勧める作品は、最初は疑って掛かるもの。人の好みと自分の好みが一緒であるとは限らないため、その辺の線引は中々難しい。

少しクドくなったが、要するに何が言いたいのかというと、これだけ少ないロードショーでありながら当作品はぴあ映画生活調べにおいて、初日満足度ランキングで『第8位』という健闘した成績を記録した。この頃から段々と映画を始めとしたメディア作品がつまらないと感じ始める人が増えていた中では、奮闘したと言っていい。

海外の映画祭にも出品された

はっきり言ってはなんだが、知らない人は知らない作品となっている。話題性を集める内容でもなければ、決して万人向けに作られた作品でもないためこんな作品が当時公開されていたことを知らないという人もいるはず。この作品こそある意味知る人ぞ知る名作とまで謳われているがそれは日本国内を飛び出して海外の映画祭にも出品されるほどだった。

出品された映画祭は、第60回ベルリン映画祭のフォーラム部門に正式出品されるほど、この作品はそれなりに期待を持たれていたものの、残念ながら受賞は叶わずといった結果になってしまう。ただそれでも映画フリークの人に言わせれば、これほど名作と呼べる作品はその年の作品で考えてもなかったと言われるくらいに話題があったことだけは間違いないでしょう。一度と言わず何度となく足を運んだ人もいるでしょうから、惜しい結果となったがそれでも出品できただけでも大したものだと言えるだろう。

内容について

そんな知る人は知っている『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』の内容についてだが、お勧め作品だと言えるかどうかはかなり人によりけりな内容となっている。確かに重厚感溢れ、出演している俳優さんたちも現役で活躍している人たちの中では、その演技力と表現力に高い評価が付いている人々が起用されている。そのためファンの人達にすればこんな面白い作品を見ないでどうするんだと思うかもしれませんが、だから好まれる映画とは限らないものです。

人の意見とは常に偏見的であり、そして歪曲されがちな物となっているため、当てにするには少し便りなさすぎるものでもあるからだ。ではその気になる内容についてだが、端的に話すと『夢も希望もない話』という表現はこの上なく似合っている。これだけで恐らく見たくはないという人も多いだろう、ただ俳優たちの鮮烈なまでに光る演技が冴えているため、内容をよりほの暗くしているのもうかがい知れる作品にもなっている。